今朝の日経「経済教室」は必読。日本の農業がなんでダメになったか、その根本的原因 と現実的な改革の具体策を簡潔にまとめている。かつて渾身の力作『農協』で農協批判を展開した立花隆が、いまやすっかり農業問題について口を閉ざしてし まった以上、山下一仁こそが数少ない勇気ある改革提言者だ。がんばれ!
山下一仁(経済産業研究所上席研究員)は言う:
勇気ある発言だ。まったくの正論だが、今の日本では、正論を発言するのに勇気が必要とされるのだ。あいつらを敵に回すとホント怖いから。
- 兼業農家と一体となって事業を肥大化させてきたJA農協の存在が農業の構造改革を阻んでいる。農業の再生のためには、JAから信用・共済事業を分離して農業事業に特化させたり、JA傘下外で主業農家による専門農協を設立するなど、企業的農業を支援する必要がある。
- 農協の反対により数限りない農業改革が破綻した。農協が自らの基盤であるはずの農業の再生・構造改革に反対するのはなぜか。
- 農協法の組合員ひとり一票制のもとでは、少数の主業農家より圧倒的多数の兼業農家の声がJA運営に反映される仕組みであり、JAにとっても兼業農家を維持し農家戸数を確保した方が政治力を発揮できるから。
- 農業が衰退する一方、経済成長による兼業機会の増加と農地転用売却益により兼業農家は豊かになった。
- JAも農産物販売では赤字に転じる一方、信用・保険などの黒字拡大により高成長が続いた。JAは今や国内有数の金融機関となった。農家もJAも脱農・兼業化で豊かになった。こうして政治と強く結びつくようになった。
- 農業の再生を図るためにはどうしても企業的農家を育てる必要があるが、全ての農家を平等に扱う組織原理が企業的農家の育成を阻んでいる。
- JAに主業農家の声をもっと反映させなければならない。そのためには農協利用度に応じてひとり一票制を見直すことや、信用・共済事業の分離が提案されたが、JAの反対で流れてしまった。
- それならば現行制度で対応できる方法として、コメ主業農家による専門農協設立を支援してはどうか。「農家のための農協」が「農業のための農協」になるようにする。
- 主業農家が脱落すれば、零細・非効率な兼業農家のためだけのJA農業関連事業は縮小せざるを得なくなる。このときこそ、「真の農業者のための農政」が実現する。
勇気ある発言だ。まったくの正論だが、今の日本では、正論を発言するのに勇気が必要とされるのだ。あいつらを敵に回すとホント怖いから。
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